Ente Photosとは
Ente Photosは、Ente Technologies, Inc.が提供するエンドツーエンド暗号化の写真・動画バックアップアプリで、任意の顔認識と自然言語検索が端末上で動きます。 App Storeでは「写真/ビデオ」に分類され、最初のリリースは2020年12月2日です。まずクラウドサービスであり、ライブラリは暗号化された状態でEnteのサーバーに保存され、AIはその上に載る任意のレイヤーです。
Enteは別製品として、端末上で動くチャットアプリEnsuも提供しており、こちらは独立したレビューがあります。本ページはPhotosアプリとその機械学習機能のみを扱います。
入手方法
Ente Photosはスマートフォンではアプリストアから、パソコンではダウンロード用インストーラーから導入します。機械学習機能にはこれらのいずれかのアプリが必要です。
iPhone・iPad
- 入手方法:
- App StoreのEnte Photos、無料ダウンロード、掲載情報ではiOS 15.1以降
Android
- 入手方法:
- Google Play、F-Droid、またはGitHubのリリースページのAPK
macOS・Windows・Linux
- 入手方法:
- ente.com/downloadのインストーラー:macOS用DMG、Windows用EXE、Linux用のAppImage・DEB・RPM、Flathub
ウェブ
- 入手方法:
- photos.ente.com、インストール不要
プラン
- 入手方法:
- 無料:10 GB。有料はente.comの表示でUSD:50 GBが月額$2.49、200 GBが$4.99、1000 GBが$9.99、2000 GBが$19.99。年額も掲載されており、トップページのFAQによればファミリープランは追加料金なしで最大5人まで利用できます
ウェブサイト
- 入手方法:
- ente.com
プライバシーポリシー
- 入手方法:
- ente.com/privacy
ソースコード
- 入手方法:
- github.com/ente-io/ente、GitHub上の表示ではAGPL-3.0
確認したバージョン:モバイル版は1.3.66で、App StoreとGitHubによれば2026年10月21日に公開されました。デスクトップ版は1.7.30(2026年10月6日)です。iPhoneアプリはモデルのダウンロード前で242.6 MBです。価格はente.comの表示に従っており、各国ストアの価格はPromptQuorumでは確認していません。
ローカルで動く部分とクラウドで動く部分
顔認識と検索のモデルは端末上で動きますが、写真そのものはEnteのクラウドにあり、AIがインデックスを作るのはバックアップ済みの写真だけです。
顔認識
- 実行場所:
- 端末内
- 情報源の記載:
- 顔を検出して数値の特徴量に変換し、人物ごとにグループ化する処理をローカルで行います。初期状態はオフで、プライバシーポリシーによれば同意を得たうえで有効になります。モバイルとデスクトップのアプリで使え、ウェブでは使えません。グループの統合・分割はモバイルで可能で、デスクトップは表示のみです。
Magic Search
- 実行場所:
- 端末内
- 情報源の記載:
- クエリは、CLIP系の画像モデルで作ったローカルのインデックスと照合されます。ソースコードにはMobileCLIP S2の名前があります。インデックス作成後はオフラインでも検索できます。
Detect Text(OCR)
- 実行場所:
- 端末内
- 情報源の記載:
- 写真内の文字を長押ししてコピーできます。iPhoneアプリはAppleのVisionフレームワークを使い、Androidは初回利用時にオフライン用モデルをダウンロードします。モバイルのみで、都度実行され、検索用インデックスは作りません。
モデルのダウンロード
- 実行場所:
- ネットワーク(初回のみ)
- 情報源の記載:
- ヘルプページによれば約300 MBです。ソースコードはmodels.ente.comを指しており、プライバシーポリシーはモデルのホスティング先としてHugging Faceを挙げています。
インデックス作成の入力
- 実行場所:
- クラウドから端末へ
- 情報源の記載:
- アプリはまずEnteからオリジナルをダウンロードしてインデックスを作り、対象はサインイン中にバックアップされた写真のみです。モバイルのギャラリーモードならサインインなしでもローカルの写真を対象にできます。
検索インデックス
- 実行場所:
- クラウド(暗号化)
- 情報源の記載:
- 完成したインデックスは暗号化されて他の端末と同期されるため、1台の端末が全端末の分をまとめて処理できます。デスクトップ版はスマートフォンより高速にインデックスを作ります。
写真の保存
- 実行場所:
- Enteのクラウド(暗号化)
- 情報源の記載:
- ファイルは暗号化されてEnteのサーバーに保存されます。セキュリティFAQによれば、拠点はアムステルダム、パリ、フランクフルトで、3社に3つのコピーがあります。
これらの記述は、Enteのヘルプページ、プライバシーポリシー、GitHub上のソースコードに基づいています。PromptQuorumはアプリの通信を調べておらず、モデルも実行していません。
端末内検索を有効にする手順
手順はヘルプページに沿っています。PromptQuorumは実行していません。
- 1機械学習をオンにする
Why it matters: モバイルでは「設定」から「機械学習」を、デスクトップでは「設定」「環境設定」「機械学習」を開きます。「機械学習」と、必要なら「ローカルインデックス」を有効にします。 - 2最初のインデックス作成を待つ
Why it matters: ライブラリが大きい場合は、より高速なデスクトップアプリから始め、インデックスをスマートフォンに同期させます。大量のインポートの前に有効にすると、写真を二重にダウンロードせずに済みます。 - 3人物に名前を付けて検索する
Why it matters: 「人物」を開いてグループに名前を付け、検索バーにその名前か「夕暮れのビーチ」のような説明文を入力します。 - 4RAMの少ないスマートフォンへの配慮
Why it matters: RAMが4〜6 GBで写真が多いスマートフォンでは、ローカルインデックスをオフにして、処理をデスクトップアプリに任せます。
暗号化とデータの流れ
提供元によれば、ファイルとそのメタデータはアップロード前にお使いの端末で暗号化され、鍵を持つのはユーザーだけです。 ヘルプページによると、鍵はパスワードからArgon2idで導出され、ファイルはlibsodiumライブラリを通じてXChaCha20とXSalsa20にPoly1305を組み合わせて暗号化され、ファイルとアルバムごとに別の鍵があり、撮影日時・位置情報・説明文などのメタデータも暗号化されます。共有アルバムは受信者の公開鍵で解錠されます。公開リンクでは、FAQによれば復号鍵はURLのフラグメントに含まれ、サーバーには送られません。
2026年10月16日更新のプライバシーポリシーによれば、Enteが収集するのはメールアドレス、公開鍵、匿名化されたクラッシュレポート、IPアドレスを含むサーバーログで、アプリ機能の使い方に関する分析は収集しません。挙げられている委託先にはScaleway、Hetzner、Backblaze、Wasabi、Cloudflare、Stripeなどがあります。顔ベースの検索データは、端末上で生成され、端末を離れる前に暗号化されると説明されています。
📌補足: これらは提供元の申告と文書であり、PromptQuorumによる監査結果ではありません。PromptQuorumは通信もコード内の暗号実装も調べていません。ポリシーによれば、同社の本社は米国にあります。
確認できなかった点
- 品質と速度。 PromptQuorumはアプリをインストールせずモデルも実行していないため、顔のグループ化の精度、検索結果の的確さ、インデックス作成にかかる時間は評価していません。ヘルプページ自身も、顔モデルは乳幼児が苦手だとしています。
- 暗号化と通信。 記述はEnte自身の文書に基づいており、PromptQuorumは通信もコード内の暗号実装も調べていません。
- メタデータの範囲。 アーキテクチャ文書は、サムネイル、ファイル名、ファイルサイズ、IPアドレスが対象かどうかを述べていません。一方FAQは、撮影日時、位置情報、説明文が暗号化されるとしています。
- 無料プランでの共有。 トップページは無料プランにアルバム共有と公開リンクを挙げていますが、セキュリティFAQは有料プランのみがアルバムを共有できるとしています。
- 説明のない第三者。 ポリシーは「Research and documentation」の項目にAnthropic、OpenAI、xAIを挙げていますが、どのようなデータを受け取るのか(受け取る場合)は説明していません。
- 文書化されていないモデル。 ソースコードには犬と猫の顔・体のモデルが並んでいますが、ヘルプページには説明がありません。
- ストアでの価格。 各国通貨でのプラン価格と、アプリストア内での価格は確認していません。
競合と代替ツール
PixlStash
- 対応プラットフォーム:
- Windows、macOS、Linux
- 価格/ライセンス:
- 無料/GPL-3.0
- 主な違い:
- ローカルのタグ付け、顔検索、セマンティック検索を備えたセルフホスト型の画像ライブラリ管理ツール。運用も保存も自分で行い、管理されたクラウドバックアップはありません
PixlStashに関する記事(1件)
pcAI Photo Retouch
- 対応プラットフォーム:
- iPhone、iPad、Mac
- 価格/ライセンス:
- 無料+アプリ内課金/記載なし
- 主な違い:
- 端末上でオフラインの写真修復とアートスタイルを行うアプリ。個々の画像を編集しますが、ライブラリのバックアップや整理は行いません
pcAI Photo Retouchに関する記事(1件)
端末内AIを備えた写真ライブラリアプリで、PromptQuorumのレビューがあるものはまだ他にないため、これらがディレクトリ内で最も近い項目です。各アプリの最新の価格、ライセンス、対応プラットフォームは、それぞれの掲載ページで確認してください。
よくある質問
ウェブアプリで顔認識やMagic Searchは使えますか。
いいえ。ヘルプページによれば、photos.ente.comでは機械学習は利用できず、日付、ファイル名、説明、アルバムによる基本検索のみです。
パスワードと復旧キーの両方を失ったらどうなりますか。
Enteは、アカウントの復旧もデータの復号もできないとしています。24語の復旧キーはサインイン中に設定で確認できます。別の端末でサインインしたままなら、そこからパスワードをリセットできます。
顔データはAIモデルの学習に使われますか。
ヘルプページは、写真とMLデータがEnteによっても第三者によってもAIモデルの学習に使われることはないとしています。プライバシーポリシーは、写真を共有すると受信者の端末がそこから顔情報を抽出できるとも補足しています。
ストレージ料金を払わず、Enteをセルフホストできますか。
ドキュメントには、クイックスタートスクリプト、Docker Compose、手動セットアップによるセルフホストが説明されており、サーバーのコードはオープンソースです。PromptQuorumは試しておらず、その場合はストレージの運用とバックアップを自分で行うことになります。
暗号化は監査を受けていますか。
提供元は、Cure53がSymbolic Softwareと共同で行った最初の監査と、CERNの依頼で行われた後続の監査を挙げており、どちらもブログで公開されています。PromptQuorumはレポートを読んでいません。
総評
Ente Photosは、活発にメンテナンスされているオープンソースの選択肢で、写真ライブラリをエンドツーエンド暗号化でバックアップしつつ、解析をサーバーに任せずに人物や説明文で検索できます。一方で、ライブラリは提供元のクラウドに置かれたままで、AIはモバイルとデスクトップのアプリでしか動かず、対象はバックアップ済みの写真に限られ、大きなライブラリでは最初のインデックス作成に時間がかかることがあります。主流の写真クラウドに代わるプライベートな選択肢を求め、10 GBを超える分は有料プランで構わない方に向いています。暗号化やローカル処理の独立した裏付けが必要な方は、まず監査レポートを読み、アプリの通信を確認してください。
情報源
- App StoreのEnte Photos — バージョン、公開日、サイズ、動作要件。2026年10月24日確認。
- GitHubのEnte Photos 1.3.66 — 公開日とAndroid用APK。
- Enteのウェブサイトとダウンロードページ — プラン、機能、対応プラットフォーム、デスクトップ版のバージョン。
- Enteのプライバシーポリシー — 収集データ、委託先、顔データに関する同意。2026年10月16日更新。
- Enteヘルプ:機械学習、Magic Search、Detect Text — 端末上で動く処理。
- Enteヘルプ:セキュリティとプライバシーのFAQとアーキテクチャ文書 — 暗号化の設計、保存場所、監査。
- Enteのソースコード — ライセンスと機械学習モデルの一覧。2026年10月24日確認。
