mini PCとは別カテゴリである理由
Core Ultraチップと32〜64GBのRAMを積んだ一般的なmini PCが答えるのは、「7〜32Bのモデルをデスクで静かに動かせるか」という別の問いです。 ローカルAIワークステーションが答えるのは、「そもそも100B級モデルを読み込めるか」です。差を生むのはメモリシステムです。CPUとGPUの両方に接続された256ビットLPDDR5Xバスが基板にはんだ付けされ、その大部分をGPUがアドレスできます。2チャネルのDDR5モジュールを使うmini PCの帯域幅は、その何分の一かにとどまります。そうしたマシンについては、ASUS mini PCガイドとmini PCまとめをご覧ください。
このページでは、このクラスを「ローカルAIワークステーション」という名前でまとめて扱います。そのため、これらのマシンはエントリークラスのデスクトップではなく、互いに比較します。Macは別カテゴリであり、Mac購入ガイドで扱っています。
3つのアーキテクチャとトレードオフ
本当の競争は、9つのブランド間ではなくプラットフォーム間にあります。 AMD搭載機の多くは同じプロセッサを共有しており、違いは冷却、電力制限、接続性、ファームウェア、保証、価格にあります。
NVIDIA GB10(DGX Spark)
- メモリ:
- 128GB LPDDR5X、273GB/s
- 主な利点:
- CUDAとNVIDIA AIソフトウェア、機器接続用の200Gbps ConnectX-7
- 主な制約:
- メモリは128GBまで。ArmのCPUで、OSはDGX OS(Linux)のみ
AMD Strix Halo(Ryzen AI Max+ 395、PRO 495)
- メモリ:
- 128GB(395)、PRO 495は最大192GB
- 主な利点:
- ドルあたりのメモリ量が最大。x86、WindowsまたはLinux
- 主な制約:
- ソフトウェアとドライバの成熟度はOSやバックエンド(ROCm、Vulkan)で異なる。Ryzen AI Haloは高速ファブリックなしの10GbE
Intel Panther Lake(Core Ultra X9 388H)
- メモリ:
- 最大96GB、153.6GB/s
- 主な利点:
- 新しいArcグラフィックスとNPU
- 主な制約:
- メモリ量と帯域幅が両競合より小さい
Sparkの数値はNVIDIAの製品ページ、Intelの数値はNanoReviewのスペックデータベースによるものです。192GB版PRO 495の帯域幅は、確認した情報源ではFrameworkもAMDも明記していません。8533MT/sの256ビットバスから計算すると約273GB/sになりますが、独立した実測値は確認していません。
候補に入れる5台
実際の購入判断をカバーするのは5台です。最大メモリ、ベンダーのリファレンス設計、法人向け、コスパ重視、拡張可能なワークステーションです。 これはスペックシートとサードパーティのレポートに基づく編集部の選定であり、PromptQuorumはいずれのマシンもベンチマークしていません。リンク先はベンダーのページで、アフィリエイト関係はありません。各マシンには個別のページもあります:DGX Spark、Ryzen AI Halo、Framework Desktop、HP Z2 Mini G1a、GMKtec EVO-X2、Minisforum MS-S1 MAX。
Framework Desktop 192GB
最大メモリ、モジュール式で修理しやすい
Ryzen AI Max+ PRO 495に192GBのLPDDR5X-8533を組み合わせた4.5Lのケースで、DIY EditionまたはFedora搭載の完成品として提供されます。Frameworkは2026年9月30日に1バッチ限定の予約受付を開始し、初回出荷は11月の見込みです。Frameworkのストアページには、その後、バッチ1と2が完売となり、12月のバッチ3が表示されました。PRO 495構成にはオープンなPCIe x4スロットがあり、USB4とPCIeによるクラスタリングに対応します。
長所
- +標準的で修理しやすい筐体に、DGX Sparkを上回るメモリを搭載
- +オープンなPCIeスロットと、文書化されたDIY手順
短所
- –予約のみ。11月出荷は見込みにすぎない
- –192GBは構成済みメモリのみで、価格はSparkと同水準
AMD Ryzen AI Halo
DGX SparkへのAMD自身の回答
AMDの開発者向けプラットフォームです。Ryzen AI Max+ 395に128GBのLPDDR5x-8000(256GB/s)、2TB SSD、10GbEを備え、Windows 11 ProまたはAMDのLinux開発者向けイメージから選べます。192GBのPRO 495版が小売店に並んだとの報告もあります。StorageReviewのテストでは、vLLMサービングでSparkに明確に劣り、クラスタリング用の高速ファブリックもありませんでした。
長所
- +AIソフトウェアスタックが構成済みで、デュアルOSに対応
- +395プラットフォームをAMD自身から入手でき、リスクが最も低い
短所
- –発売時の報道によると、米国での販売はMicro Centerのみ
- –10GbEポートが1つのみで、Sparkのような複数台スケーリングは不可
HP Z2 Mini G1a
法人チャネル向けの選択肢
HPのZワークステーションラインに属する、最大128GBのRyzen AI Max+ PRO 395搭載機です。法人・リセラー経由で販売され、価格差が大きくなっています。より安い他のマシンと同じプラットフォームであり、HPの保証と調達ルートに対価を払う形です。
長所
- +確立された法人向けサポートと購入チャネル
- +ブティック系マシンと同じ128GBプラットフォーム
短所
- –HP自身の米国価格は、確認したどのブティック系128GB機よりも高い
- –リセラーやストレージ容量によって価格が大きく異なる
GMKtec EVO-X2
同じプロセッサのコスパ重視モデル
Ryzen AI Max+ 395に128GBを搭載した、ブティック系Strix Halo機の先駆けの1つです。ストア価格は動的に変動し、確認した掲載価格も幅広かったため、最新のページを確認してください。上のマシンと同じプロセッサなので、選ぶ理由は性能ではなく価格です。
長所
- +サードパーティのレビューが複数ある
- +128GBの選択肢の中では安いことが多い
短所
- –保証とサポートの条件はベンダー独自のもの。購入前に確認してください
- –販売店ごとに価格と構成の掲載内容が食い違う
Minisforum MS-S1 MAX
ワークステーション志向の設計
Ryzen AI Max+ 395に128GBのLPDDR5x-8000、デュアル10GbE、USB4 v2、PCIe x16拡張スロットを備え、2Uラックマウントにも対応します。確認した時点で、米国ストアは128GB/2TBモデルをセール価格で掲載し、出荷は11月上旬の見込みでした。192GBのMS-S1 MAX-P495は米国ストアに掲載されており、最後に確認した時点では売り切れでした。
長所
- +このクラスでは珍しい、デュアル10GbEと拡張スロット
- +オフィスやラボ向けのラックマウント対応
短所
- –通常価格はセール価格より25%高い
- –販売元の保証は米国ストアで2年
全機種の価格チェック
以下の数値はすべて、最終更新時点(更新日を参照)で記載の情報源から確認した米国価格で、他の通貨からの換算ではありません。 2026年はメモリ不足により価格が繰り返し上昇しており、販売店間で食い違う行もあります。この表はスナップショットとして扱い、注文前に必ずベンダーのページを確認してください。欧州や日本の価格は異なりますが、確認が取れなかったため掲載していません。
NVIDIA DGX Spark
- チップとメモリ:
- GB10、128GB
- 確認した米国価格:
- $6,950
- 状況と情報源メモ:
- 2026-10-03にServeTheHomeが報道。発売時$3,999、2026年前半のFounders Editionは$4,699。OEMの64GB版は$4,999から
AMD Ryzen AI Halo
- チップとメモリ:
- 395、128GB
- 確認した米国価格:
- $3,999
- 状況と情報源メモ:
- 2TB SSD。発売時の報道ではMicro Center
AMD Ryzen AI Halo 192GB
- チップとメモリ:
- PRO 495、192GB
- 確認した米国価格:
- $7,299
- 状況と情報源メモ:
- HotHardwareとBornCityがMicro Center店舗向けとして報道。小売店ページでは未確認
Framework Desktop 192GB
- チップとメモリ:
- PRO 495、192GB
- 確認した米国価格:
- DIY $6,799 / 完成品 $7,449
- 状況と情報源メモ:
- 11月の1バッチとして発表(Phoronix)。Frameworkのストアには後に12月のバッチが表示
Framework Desktop 128GB
- チップとメモリ:
- 395、128GB
- 確認した米国価格:
- $3,449
- 状況と情報源メモ:
- 比較用にPhoronixが引用
Minisforum MS-S1 MAX
- チップとメモリ:
- 395、128GB
- 確認した米国価格:
- セール $3,919 / 通常 $4,899
- 状況と情報源メモ:
- Minisforum米国ストアの128GB/2TB。11月上旬出荷
HP Z2 Mini G1a
- チップとメモリ:
- PRO 395、128GB
- 確認した米国価格:
- $3,800〜$6,954
- 状況と情報源メモ:
- Micro CenterとCDWの128GB/2TB掲載(Serious Insights)。HP自身の米国定価はNotebookcheckが$5,079と報じた
GMKtec EVO-X2
- チップとメモリ:
- 395、128GB
- 確認した米国価格:
- $2,199.99と$3,649
- 状況と情報源メモ:
- GMKtec米国ページは$2,199.99(売り切れ)。AmazonはNotebookcheckによると128GB/2TBで$3,649(2026-07-18)。情報源間で食い違いあり
Corsair AI Workstation 300
- チップとメモリ:
- 395、128GB
- 確認した米国価格:
- $3,399
- 状況と情報源メモ:
- Tom's Hardwareの報道。報道日は未確認
Beelink GTR9 Pro
- チップとメモリ:
- 395、128GB
- 確認した米国価格:
- 未確認
- 状況と情報源メモ:
- 米国の掲載内容が食い違う。PRO 495版は現時点で中国のみ価格設定
Bosgame M5
- チップとメモリ:
- 395、128GB
- 確認した米国価格:
- 未確認
- 状況と情報源メモ:
- 現行価格は見つからず
MSI PRO MAX EDGE AI+ 11Mは確認が取れなかったため、掲載していません。当サイトが自ら開いたベンダーページに載っていない価格は、報道した媒体名を明記しています。
独立テストの結果
数値が公開されている直接比較で確認できたのは、StorageReviewによるRyzen AI HaloとDGX Sparkのテストのみで、全ケースでSparkが勝ちました。 6つのモデルを使い、Linux上でバッチ64のvLLMオンラインサービングを実行したものです。Sparkは18シナリオのうち16で約2〜13倍の差をつけ、残り2つ(いずれも小型の密モデルでデコード中心の実行)では約11〜12%の差でした。最大の差が出たのは、プリフィル中心の処理と、Blackwellハードウェア向きのFP4モデルです。
このテストが測っているのは、複数リクエストのサービングスループットです。1ユーザーのチャット速度は主にメモリ帯域幅に左右され、両者の帯域幅は近い(256対273GB/s)ため、差は小さいと予想しますが、これは予想であり、このテストでは測定されていません。AMD自身が公表している比較(Intelとの比較を含む)はベンダーによるテストであり、独立したベンチマークではありません。
128GBと192GBで動くモデル
何が読み込めるかは容量で決まり、どれだけ速く動くかは帯域幅とソフトウェアで決まります。 この表は、量子化の計算(パラメータ数 × 重みあたりのビット数に、コンテキスト用の作業領域を加えたもの)であり、ベンチマークではありません。
モデルクラス | 量子化 | 重みのみ | 128GB機 | 192GB機 |
|---|---|---|---|---|
| 70B密モデル | 8ビット | 約70GB | 収まる、コンテキスト余裕あり | 余裕で収まる |
| 120B級 | 4ビット | 約60〜70GB | 余裕で収まる | 大きなコンテキストでも収まる |
| 200B級 | 4ビット | 約100GB | コンテキスト追加で厳しい | 収まる |
| 300B級 | 4ビット | 約150GB | 収まらない | 限られたコンテキストで収まる |
標準設定では、すべてのメモリをGPUが使えるわけではありません。GPUがアドレスできるメモリ量はOS、カーネル、ドライバの設定によって異なり、StorageReviewはRyzen AI Haloが可変グラフィックスメモリを最大に設定した状態で出荷されると記しています。お使いのOSとバックエンド(VulkanまたはROCm)に合わせて、ベンダーのガイドを確認してください。
Intelの現状
IntelのPanther Lakeプラットフォームは注目に値しますが、まだ大規模モデル向けのマシンではありません。 NanoReviewによると、Arc B390グラフィックスを備えたCore Ultra X9 388Hは最大96GB・153.6GB/sで、PRO 495の192GB・256GB/sに対して小さくなっています。HotHardwareは、一部のOpenVINOワークロードではArc B390がStrix Haloを上回り、ONNXではStrix Haloが上回ったと報告しています。これらの結果は395との比較であり、PRO 495との比較ではありません。
HP Z2 Mini G1iはさらに別設計で、独立したNVIDIA RTX 4000 SFF Adaカードを搭載するIntelワークステーションです。つまり、1つの大きな共有プールではなく専用のGPUメモリを使います。これは、このページではなく、より広いワークステーション比較で扱うべき製品です。
どれを買うべきか
- 128GBに最も安く入る方法: AMD Ryzen AI Max+ 395搭載機(Ryzen AI Halo、Minisforum MS-S1 MAX、GMKtec EVO-X2、Corsair)。価格は変動しやすいため、最新の価格を比較してください。
- 128GB超: Framework Desktop 192GBまたは192GB版Ryzen AI Halo。価格はSparkに近く、予約や限定販売の待ち時間を受け入れる必要があります。
- 最速の実測サービング、CUDA、ファインチューニング、2台の接続: DGX Spark。ただし価格は発売時よりはるかに高くなっています。
- 法人購入と保証: HP Z2 Mini G1a。
- このクラスではない人: 使うモデルが32〜64GBに収まるなら、まずmini PCガイドをお読みください。
よくある間違い
- 192GBを「128GBより速い」と読むこと。より大きなモデルや長いコンテキストを読み込めるだけで、速度は引き続き帯域幅、演算性能、ソフトウェアで決まります。
- 9台のStrix Halo機を9種類の異なるプロセッサとして扱うこと。スペックシート上のチップ名ではなく、冷却、電力制限、ポート、保証を確認してください。
- 発売当初の価格で買うこと。このクラスでは夏以降に値上がりした数値が複数あり、そのため表に日付を記載しています。
- ユニファイドメモリのすべてをGPUが使えると思い込むこと。割り当ての上限はOS、BIOS、バックエンドによって異なります。
よくある質問
AMD Ryzen AI HaloはDGX Sparkより速いですか?
確認できた独立テストでは、いいえ。StorageReviewの測定では、vLLMサービングの18シナリオすべてでSparkが上回りました。ただし、デコード中心の2つの実行では差は約12%以内でした。
192GBのマシンは、Sparkで動かせないモデルを動かせますか?
読み込みという点ではそうです。約300B級の4ビットモデルは、重みだけで約150GBが必要です。実用的な速度で動くかどうかは、帯域幅とソフトウェアによります。
Strix Haloでモデルを動かすのにROCmは必須ですか?
必ずしも必要ではありません。llama.cppはVulkan経由でも動作します。どちらのバックエンドが速いかはカーネルやドライバのバージョンによって異なるため、お使いの環境で両方を試してください。
なぜApple Siliconを含めないのですか?
Macは独自のメモリ階層とソフトウェアを持つ別カテゴリです。上でリンクしたMac購入ガイドをご覧ください。
64GBのCore Ultra搭載mini PCは、DGX Sparkの競合になりますか?
なりません。メモリは多くても半分で、メモリバスははるかに狭いため、他のガイドで扱うmini PCと競合します。
これらのマシンはファインチューニングに向いていますか?
NVIDIAは、Sparkが最大70Bパラメータまでのファインチューニングに対応すると述べています。AMD搭載機については、同等のベンダー主張も独立テストも見つかりませんでした。
